ネットで話題の式
ネットで話題の式というのは、『 6÷2(1+2)= 』です。
発端は、この誰でも解けそうな問題を台湾のfacebookコミュニティでの出題があって、
多くの人が『1』と解答したそうです。
それに対して、正解を『9』とし、342万人が解答し正解者は半分以下の149万人で、
「大勢の人が、小学生レベルの問題が解けない」として話題となったそうです。
これに対し、「この式自体がおかしい」という反論が出て議論となったらしいです。
日本でも多くの人がネット上で意見を書き、侃侃諤諤の議論となっていました。
私も、『 6÷2(1+2) 』で検索したところ、該当するサイトが実に沢山あり、驚きました。
『9派』の主張は、だいたい省略された×を単に補って、
6÷2(1+2)=6÷2×(1+2)=3×3=9 とするものでした。
1派の主張に対して「小学校からやり直せ」とか馬鹿呼ばわりしている意見が目立ちました。
ひどいのになると、1派を抹殺すべきだという物騒な意見までありました。
『1派』の主張は、「2(1+2)」をまとまったものと考え、
6÷2(1+2)=6÷{2×(1+2)}=6÷(2×3)=6÷6=1 とするものでした。
9派の主張に対して「小学校からやり直せ」のような意見もありました。
ヤフーの知恵袋のベストアンサーに多かったのも1です。
ベストアンサーの中には、次のような信じられないのもありました。
「先に( )の中をやってからやります。6÷2×3 そのあとは左から順番にやるので =6÷6=1」
その他、先に( )をはずして、6÷2(1+2)=6÷2+4=7 や、
和解を勧める目的?かと思うのですが、1と9の間をとって5というのもありました。
報道によると「電卓で計算した結果も計算機毎に結果が異なる始末」だそうで、
「ちなみにウェブで計算できるGoogleの計算機は『9』を解とした」そうです。
私もエクセルで計算してみましたが、『 6/2(1+2) 』が受け付けられず、
『 6/2*(1+2) 』にするか、式を書き直すかを迫られました。
2006年の静岡大学教育学部附属教育実践総合センター紀要に熊倉啓之氏が書かれている、
「A÷BC のタイプの計算についての指導」によると、
> 12ab÷4b (A社・例) これは,12ab÷4×b ではなく,12ab÷(4×b) の計算である。(中略)
> この計算を,12ab÷4×b=(12ab÷4)×b=3ab×b=3ab2 と誤る生徒はあまりいないと考えられる。
> しかし,一方で,式 12ab÷4b を,かけ算記号×を省略せずにかいたとき,
> (12×a×b)÷(4×b) あるいは 12×a×b÷(4×b) と正しく解答せずに,
> 12×a×b÷4×b とする誤答は,少なくないと考えられる。
> 実は,かけ算記号の省略については,中1の「文字と式」で扱うが,
> 「かけ算記号が省略された部分については,優先して計算を行う」
> ことについて,きちんと指導している教科書は一社もない。
> もちろん,中2の「式と計算」でも同様である。
ということです。
この紀要をもとにすれば、答がどちらかということは明らかなのですが、
教科書会社と検定を行う文部科学省に問題がありそうです。
もちろん、外国である台湾でどうなっているのかは私には分かりません。
誤解が生じる現状では、次のように書くべきだと私は思います。
「 (6÷2)(1+2)=9 」「 6÷2×(1+2)=9 」「 6÷{2(1+2)}=1 」
なお、私のブログでは a/bc というような書き方をせずに a/(bc) と書いています。
『 6÷2(1+2) 』を調べていて、これが、算数・数学の問題でなく、
自分の主張をどれだけゴリ押しするかを見る「性格診断テスト」ように思えてきました。
「性格診断テスト」として見たら『 6÷2(1+2) 』は中々いい問題だと思います。
ところで、もし『 2(1+2)÷2(1+2) 』だったら、どんな意見が多くなるのかな?とも思います。