[答607] 三角形の周の長さの最小値
[答607] 三角形の周の長さの最小値
BC=5,CA=8,AB=7 の△ABCがあり、辺BC,CA,AB上に点D,E,Fをとって△DEFをつくるとき、
EF+FD+DE の最小値は?
[解答1]
下左図のように、△ABCの内角をα,β,γとし、ABに関してDと対称な点をR,ACに関してDと対称な点をQ、
RB,QCの延長の交点をPとします。
EF+FD+DE=EF+FR+QE=QE+EF+FR だから、
これが最小になるのは、Q,E,F,Rが一直線上に並ぶときで、その長さは QR です。
次に、△PBCにおいて、∠PBC=π-2β,∠PCB=π-2γ だから、∠P=π-2α になります。
正弦定理により、PB/sin(π-2γ)=PC/sin(π-2β)=BC/sin(π-2α) だから、
PB=BCsin2γ/sin2α,PC=BCsin2β/sin2α です。
よって、
PQ+PR=PC+CQ+PB+BR=PC+CD+PB+BD=PB+PC+BC
=BCsin2γ/sin2α+BCsin2β/sin2α+BC
=BC(sin2α+sin2β+sin2γ)/sin2α=BC{2sinαcosα+2sin(β+γ)cos(β-γ)}/sin2α
=2BC{-sinαcos(β+γ)+sinαcos(β-γ)}/(2sinαcosα)
=BC{-cos(β+γ)+cos(β-γ)}/cosα=2BCsinβsinγ/cosα となって一定です。
△PQRに余弦定理を適用し、
QR2=PQ2+PR2-2・PQ・PRcos(π-2α)
=(PQ+PR)2-2・PQ・PR(1-cos2α)=(PQ+PR)2-4・PQ・PRsin2α
相加・相乗平均の関係により、√(PQ・PR)≦(PQ+PR)/2 、4・PQ・PR≦(PQ+PR)2 だから、
QR2≧(PQ+PR)2-(PQ+PR)2sin2α=(PQ+PR)2cos2α
QR≧(PQ+PR)cosα=2BCsinβsinγ になり、最小値は、2BCsinβsinγ です。
このままでも計算できますが、もう少し一般化しておきます。
△ABCの面積をS,外接円の半径をR とすれば、sinβ=CA/2R だから、
2BCsinβsinγ=2BC(CA/2R)sinγ=(BC・CAsinγ)/R=2S/R になります。
また、△ABCの3辺をa,b,cとすれば、4RS=abc 、2S/R=8S2/(4RS)=8S2/(abc) です。
本問では、
cosγ=(52+82-72)/(2・5・8)=1/2,sinγ=(√3)/2 です。
S=(1/2)5・8sinγ=10√3,R=7/(2sinγ)=7/√3 だから、2S/R=60/7 です。
☆ 相加・相乗平均の関係で等号が成り立つのは、PQ=PR=BCsinβsinγ/cosα のときです。
このとき、以下の式変形で、BD=ABcosβ となって、AD⊥BC です。
BD=BR=PR-PB=BCsinβsinγ/cosα-BCsin2γ/sin2α
=BCsinβsinγ/cosα-BCsinγcosγ/(sinαcosα)=BCsinγ(sinαsinβ-cosγ)/(sinαcosα)
=BCsinγ{sinαsinβ+cos(α+β)}/(sinαcosα)=BCsinγ(cosαcosβ)/(sinαcosα)
=(BC/sinα)sinγcosβ=(AB/sinγ)sinγcosβ=ABcosβ
同様の理由で、EF+FD+DE が最小になるのは、AD⊥BC,BE⊥CA,CF⊥AB のときです。
[解答2]
下右図のように、ABに関してDと対称な点をR,ACに関してDと対称な点をQ とします。
EF+FD+DE=EF+FR+QE=QE+EF+FR だから、
これが最小になるのは、Q,E,F,Rが一直線上に並ぶときで、その長さは QR です。
また、AR=AQ=AD であり、∠RAQ=2∠BAC は一定だから、ADが最短のとき、QRも最短になります。
よって、AD⊥BC のとき、QRが最短になり、QR=2・ARsin(∠RAQ/2)=2・ADsin∠BAC です。
ここで、△ABCの面積をS とすれば、BC・AD=2S ,AB・ACsin∠BAC=2S ですので、
AD=2S/BC ,sin∠BAC=2S/(AB・AC) となって、△ABCの3辺をa,b,cとすれば、
QR=2・ADsin∠BAC=2(2S/BC)・2S/(AB・AC)=8S2/(abc) です。
本問では、(5+8+7)/2=10、ヘロンの公式で S2=10(10-5)(10-8)(10-7)=300、
QR=8・300/(5・8・7)=60/7 です。
☆ Q,E,F,Rが一直線上に並ぶとき、∠ADC=90゚ かつ AC⊥DQ だから、∠DAC=∠CDQ になり、
中心がAで半径がADの円の中心角と円周角の関係により、∠RAD/2=∠RQD 、∠BAD=∠EDQ です。
よって、∠BAD+∠DAC=∠EDQ+∠CDQ 、∠BAC=∠EDC となって、
四角形ABDEは円に内接し、∠AEB=∠ADB=90゚ 、BE⊥AC です。
同様に、CF⊥AB で、EF+FD+DE が最小になるのは、AD⊥BC,BE⊥CA,CF⊥AB のときです。
☆ 鋭角三角形の頂点から対辺におろした垂線の足3つを頂点とする三角形を「垂足三角形」といいます。
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