[答818] 直角三角形と正三角形
[答818] 直角三角形と正三角形
BC=2,AC=4,∠C=90゚ の直角三角形ABCの 辺BC,CA,AB 上に 点P,Q,R をとって、
正三角形PQRをつくるとき、正三角形PQRの面積 S の最小値は?
[解答1]
正三角形の1辺を x,∠QPC=θ とすれば、
∠RPB=120゚-θ ,∠PQC=90゚-θ ,∠AQR=30゚+θ 、
PC=x・cosθ ,QC=x・sinθ ,BP=2-x・cosθ ,AQ=4-x・sinθ です。
△ARQ=(1/2)x(4-x・sinθ)sin(30゚+θ)=(1/2)x(4-x・sinθ)(sin30゚cosθ+cos30゚sinθ)
=(1/4)x(4-x・sinθ){cosθ+(√3)sinθ}
△RBP=(1/2)x(2-x・cosθ)sin(120゚-θ)=(1/2)x(2-x・cosθ)(sin120゚cosθ-cos120゚sinθ)
=(1/4)x(2-x・cosθ){(√3)cosθ+sinθ}
△PCQ=(1/2)(x・cosθ)(x・sinθ)=(1/2)x2sinθcosθ
△PQR=(1/2)x2・sin60゚=(1/4)(√3)x2 で、
その和が △ABC=4 です。
4x{cosθ+(√3)sinθ}-x2・sinθ{cosθ+(√3)sinθ}+2x{(√3)cosθ+sinθ}
-x2・cosθ{(√3)cosθ+sinθ}+2・x2sinθcosθ+(√3)x2=16 、
4x{cosθ+(√3)sinθ}+2x{(√3)cosθ+sinθ}=16 、
x2=64/{(2+√3)cosθ+(2√3+1)sinθ}2 、
ここで、(2+√3)cosθ+(2√3+1)sinθ は
2つのベクトル(cosθ,sinθ),(2+√3,2√3+1) の内積だから、
(2+√3,2√3+1) の大きさを a とし、方向角をα (0<α<π/2) とすれば、
a2=(2+√3)2+(2√3+1)2=20+8√3 、
(2+√3)cosθ+(2√3+1)sinθ=a・cos(θ-α) になり、
x2=64/{a2・cos2(θ-α)}=(64/a2)/cos2(θ-α)
={64/(20+8√3)}/cos2(θ-α)={16(5-2√3)/13}/cos2(θ-α)
よって、θ=α のとき x2 の最小値は 64/(20+8√3)=16(5-2√3)/13 、
そのとき、△PQR=(1/4)(√3)x2=4(5-2√3)(√3)/13=4(5√3-6)/13 です。
[解答2]
この図形を複素平面上におき、A(4i),B(-2),C(0),P(-2p),Q(2iq) (0<p<1,0<q<2) とします。
有向線分PQが表す複素数は、2iq+2p=2(iq+p) だから、有向線分PQが表す複素数は、
2(iq+p)(cos60゚+i・sin60゚)=(iq+p)(1+i√3)=(p-q√3)+i(p√3+q) 、
よって、R((-p-q√3)+i(p√3+q)) になります。
xy平面で、直線 y=2x+4 上に点(-p-q√3,p√3+q)があることになるから、
p√3+q=2(-p-q√3)+4 、(2+√3)p+(1+2√3)q=4 です。
コーシー・シュワルツの不等式により、
{(2+√3)2+(1+2√3)2}(p2+q2)≧{(2+√3)p+(1+2√3)q}2 、
4(5+2√3)(p2+q2)≧42 、p2+q2≧4/(5+2√3) 、 p2+q2≧4(5-2√3)/13 になります。
ここで、等号が成り立つのは、
p:q=(2+√3):(1+2√3) だから、p=(2+√3)k,q=(1+2√3)k とおけば、
(2+√3)2k+(1+2√3)2k=4 、4(5+2√3)k=4 、k=(5-2√3)/13 になり、
p=(4+√3)/13 ,q=(-7+8√3)/13 で、0<p<1,0<q<2 を満たします。
S=PQ2(√3)/4=4(p2+q2)(√3)/4=(√3)(p2+q2)≧(√3)・4(5-2√3)/13=4(5√3-6)/13 になって、
S の最小値は、4(5√3-6)/13=0.8185397…… です。
[参考] △PQRの面積の最大値
[解答1]で、 x2={16(5-2√3)/13}/cos2(θ-α) ですが、
tanα=(2√3+1)/(2+√3)=3√3-4 、θの範囲は ∠B-60゚≦θ≦90゚ です。
tan(90゚-α)=(2+√3)/(2√3+1)=(3√3+4)/11 、
tan(∠B-60゚)=(tan∠B-tan60゚)/(1+tan∠Btan60゚)=(2-√3)/(2√3+1)=(5√3-8)/11 、
tan{α-(∠B-60゚)}={tanα-tan(∠B-60゚)}/{1+tanαtan(∠B-60゚)}
={11tanα-11tan(∠B-60゚)}/{11+11tanαtan(∠B-60゚)}
={11(3√3-4)-(5√3-8)}/{11+(3√3-4)(5√3-8)}=(5√3+3)/11>tan(90゚-α) 、
よって、α-(∠B-60゚)>90゚-α となり、θ=∠B-60゚ のとき最大になります。
このとき、
x2={16(5-2√3)/13}/cos2(∠B-60゚-α)={16(5-2√3)/13}{1+tan2(∠B-60゚-α)}
={16(5-2√3)/13}{1+(5√3+3)2/121}=80(13-4√3)/121 、
△PQR=(1/4)(√3)x2=20(13√3-12)/121 です。
なお、結局、PがBに一致するとき または PがCに一致するとき のどちらかで最大となります。
PがCに一致するときは、RP=BC・2/(√3+1/2)<BC で、PがBに一致するときは、PQ>BC だから、
PがBに一致するときに最大です。
このとき、CQ=BC・tan(∠B-60゚)=BC・(5√3-8)/11
PQ2=BC2+{BC・(5√3-8)/11}2=BC2・20(13-4√3)/121=80(13-4√3)/121 、
とすれば、計算が楽になります。
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