[答884] 重心・内心・垂心
[答884] 重心・内心・垂心
周囲の長さが 20 で、重心と垂心を結ぶ線分の中点が内心である三角形の3辺の長さは?
正三角形は重心と垂心が一致するので、除外します。
[解答1]
△ABCにおいて、その重心をG,垂心をH,内心をI とし、BC=a,CA=b,AB=c とします。
△ABCは正三角形でないので、等しくない辺があり、b>c としても一般性を失いません。
BCの中点をM,AGの中点をD,AHの延長とBCの交点をE,DIの延長とBCの交点をF とすれば、
中点連結定理,垂心の性質より、DI//AH⊥BC になり、ME:MF=MA:MD=3:2 より 2ME=3MF になり、
CE-BE=CM+ME-BE=BM+ME-BE=2ME=3MF=3(CF-CM)=3{(a+b-c)/2-a/2}=3(b-c)/2 。
次に、三平方の定理より、AE2=AC2-CE2=AB2-BE2 、AC2-AB2=CE2-BE2 、
(AC+AB)(AC-AB)=(CE+BE)(CE-BE) 、(b+c)(b-c)=a・3(b-c)/2 、2(b+c)(b-c)-3a(b-c)=0 、
(b-c)(2b+2c-3a)=0 、同様にして、a,b を入れ替えた (a-c)(2a+2c-3b)=0 も成り立ちます。
b-c=a-c=0 のとき a=b=c になり、△ABCが正三角形でないことに反します。
b-c=2a+2c-3b=0 のとき 2a=b=c になり、
2b+2c-3a=a-c=0 のとき a=2b=c になり、
2b+2c-3a=2a+2c-3b=0 のとき a=b=2c になって、
いずれの場合も3辺の比は 2:2:1 、3辺の和が 20 だから 3辺は 8,8,4 です。
[解答2]
△ABCにおいて、その重心をG,垂心をH,内心をI とし、面積をS,BC=a,CA=b,AB=c とします。
△ABCは正三角形でないので、等しくない辺があり、b>c としても一般性を失いません。
後の計算を簡単にするために、a+b+c=x,a2+b2+c2=y とします。
△HBC/S=2△IBC-△GBC=2a/x-1/3 、3x△HBC/S=6a-x 、
同様に、3x△HCA/S=6b-x 、3x△HAB/S=6c-x 、
△HBC:△HCA:△HAB=(6a-x):(6b-x):(6c-x) です。
△HBC:△HCA:△HAB=tanA:tanB:tanC=sinA/cosA:sinB/cosB:sinC/cosC
=1/(y-2a2):1/(y-2b2):1/(y-2c2) でもあるので、
(6a-x)(y-2a2)=(6b-x)(y-2b2)=(6c-x)(y-2c2) 、
6ay-12a3-xy+2a2x=6by-12b3-xy+2b2x=6cy-12c3-xy+2c2x 、
3ay-6a3+a2x=3by-6b3+b2x=3cy-6c3+c2x 、
3ay-6a3+a2x=3by-6b3+b2x より、
3(a-b)y-6(a-b)(a2+ab+b2)+(a+b)(a-b)x=0 、
(a-b){3y-6(a2+ab+b2)+(a+b)x}=0 、
(a-b){3(a2+b2+c2)-6(a2+ab+b2)+(a+b)x}=0 、
(a-b){-3(a+b)2+3c2+(a+b)x}=0 、(a-b){-3(x-c)2+3c2+(x-c)x}=0 、
(a-b)x(5c-2x)=0 、(a-b)(5c-2x)=0 です。
同様に、3by-6b3+b2x=3cy-6c3+c2x より (b-c)(5a-2x)=0 です。
a-b=b-c=0 のとき a=b=c になり、△ABCが正三角形でないことに反します。
a-b=5a-2(a+b+c)=0 のとき a=b=2c になり、
5c-2(a+b+c)=b-c=0 のとき 2a=b=c になり、
5c-2(a+b+c)=5a-2(a+b+c)=0 のとき a=2b=c になって、
いずれの場合も3辺の比は 2:2:1 、3辺の和が 20 だから 3辺は 8,8,4 です。
[解答3]
太字はベクトルを表すものとします。
△ABCにおいて、その重心をG,垂心をH,内心をI とし、辺の長さを BC=a,CA=b,AB=c とします。
また、位置ベクトルを C(0),A(a),B(b),H(xa+yb) とすれば、G((a+yb)/3),I((aa+bb)/(a+b+c)) です。
H は GI を 2:1 に外分するから、xa+yb=2(aa+bb)/(a+b+c)-(a+b)/3 になり、
a ,b は一次独立だから、x=2a/(a+b+c)-1/3 ,y=2b/(a+b+c)-1/3 、
3(a+b+c)x=6a-(a+b+c)=5a-b-c ,3(a+b+c)y=6b-(a+b+c)=5b-a-c です。
また、|a|2=CA2=b2 、|b|2=CB2=a2 、c2=|a-b|2=b2-2a・b+a2 、a・b=(a2+b2-c2)/2 です。
次に、BH⊥CA だから {xa+(y-1)b}・a=0 、xb2+(y-1)(a2+b2-c2)/2=0 、
3(a+b+c)xb2+3(a+b+c)(y-1)(a2+b2-c2)/2=0 、
(5a-b-c)b2+(5b-a-c-3a-3b-3c)(a2+b2-c2)/2=0 、
(5a-b-c)b2+(b-2a-2c)(a2+b2-c2)=0 、
(5a-b-c)b2+(b-2a-2c)b2+(b-2a-2c)(a2-c2)=0 、
(3a-3c)b2+(b-2a-2c)(a2-c2)=0 、(a-c){3b2+(b-2a-2c)(a+c)}=0 、
(a-c){3b2+b(a+c)-2(a+c)2}=0 、(a-c)(b+a+c)(3b-2a-2c)=0 、(a-c)(3b-2a-2c)=0 です。
また、CH⊥AB だから (xa+yb)・(a-b)=0 、xb2-ya2+(y-x)(a2+b2-c2)/2=0 、
3(a+b+c)xb2-3(a+b+c)ya2+3(a+b+c)(y-x)(a2+b2-c2)/2=0 、
(5a-b-c)b2-(5b-a-c)a2+(6b-6a)(a2+b2-c2)/2=0 、
5ab(b-a)-(b3-a3)-c(b2-a2)+3(b-a)(a2+b2-c2)=0 、
(b-a){5ab-(b2+ab+a2)-c(b+a)+3(a2+b2-c2)}=0 、
(b-a)(2a2+4ab+2b2-ac-bc-3c2)=0 、(b-a)(2a+2b-3c)(a+b+c)=0 、(b-a)(2a+2b-3c)=0 です。
(a-c)(3b-2a-2c)=0,(b-a)(2a+2b-3c)=0 より、
a-c=b-a=0 のとき a=b=c になり、△ABCが正三角形でないことに反します。
a-c=2a+2b-3c=0 のとき a=2b=c になり、
3b-2a-2c=b-a=0 のとき a=b=2c になり、
3b-2a-2c=2a+2b-3c=0 のとき 2a=b=c になって、
いずれの場合も3辺の比は 2:2:1 、3辺の和が 20 だから 3辺は 8,8,4 です。
[解答4]
太字はベクトルを表すものとします。
三角形の重心をG,外心をO,垂心をH,内心をI とすれば、O,G,H はこの順に一直線上にあり、
OG:GH=1:2 です。この3点を通る直線をオイラー線といいます。
二等辺三角形においては、頂角の二等分線上に 重心・外心・垂心があるので、内心もオイラー線上ですが、
逆に、内心がオイラー線上にあるときに、二等辺三角形であることをまず示します。
△ABCにおいて、辺の長さを BC=a,CA=b,AB=c とします。
位置ベクトルを G(0),A(a),B(b),H(xa+yb) とすれば、
C(-a-b),I((aa+bb-ca-cb)/(a+b+c)) です。
I が 直線GH上にあれば、xa+yb=k(aa+bb-ca-cb)/(a+b+c) と表され、
a ,b は一次独立だから、x=k(a-c)/(a+b+c) ,y=k(b-c)/(a+b+c) です。
また、二等辺三角形の頂点以外の頂点から 中線,角の二等分線,対辺への垂線を描けば、
角の二等分線と対辺への垂線は 中線に関して同じ側にあるので、k>0 です。
次に、c2=|AB|2=|a-b|2=|a|2-2a・b+|b|2 、
a2=|BC|2=|a+2b|2=|a|2+4a・b+4|b|2 、b2=|AC|2=|2a+b|2=4|a|2+4a・b+|b|2 、
これを解けば、|a|2=(-a2+2b2+2c2)/9 ,|b|2=(2a2-b2+2c2)/9 ,a・b=(a2+b2-5c2)/18 です。
次に、BH⊥CA だから {xa+(y-1)b}・{2a+b}=0 、x(2|a|2+a・b)+(y-1)(2a・b+|b|2)=0 、
x(-a2+5b2-c2)/18+(y-1)(a2-c2)/3=0 、x(-a2+5b2-c2)+6y(a+c)(a-c)-6(a+c)(a-c)=0 、
(-a2+5b2-c2)k(a-c)/(a+b+c)+6(a+c)(a-c)k(b-c)/(a+b+c)-6(a+c)(a-c)=0 、
a≠c のとき、(-a2+5b2-c2)k/(a+b+c)+6(a+c)k(b-c)/(a+b+c)-6(a+c)=0 、
(-a2+5b2-c2)k+6(a+c)(b-c)k-6(a+c)(a+b+c)=0 、
(-a2+5b2-7c2+6ab-6ac+6bc)k-6(a+c)(a+b+c)=0 ……(1) 、
BH⊥CA から同様に、b≠c のとき、
(5a2-b2-7c2+6ab+6ac-6bc)k-6(b+c)(a+b+c)=0 ……(2) 、
よって、a≠c かつ b≠c のとき (1)-(2) より、
(-6a2+6b2-12ac+12bc)k-6(a-b)(a+b+c)=0 、
-6(a-b){(a+b+2c)k+(a+b+c)}=0 、a=b になります。
よって、内心がオイラー線上にあれば、二等辺三角形になります。
AB=AC としても一般性を失いませんので、BC=a,AB=AC=b,AM=h とします。
h2=AM2=AB2-(BC/2)2=b2-a2/4=(2b+a)(2b-a)/4 になり、
AG:GM=2:1 だから GM=h/3 、AI:IM=AB:BM=b:a/2=2b:a だから IM=ah/(a+2b) 、
△ABM∽△BHM だから AM:BM=BM:HM 、HM=BM2/AM=a2/(4h)=ha2/(2b+a)(2b-a) ですので、
GM:IM:HM=h/3:ah/(a+2b):ha2/(2b+a)(2b-a)=(2b+a)(2b-a):3a(2b-a):3a2
=(4b2-a2):(6ab-3a2):3a2 、
GH:IH=|4b2-a2-3a2|:|6ab-3a2-3a2|=4(b+a)|b-a|:6a|b-a|=2(b+a):3a 、
OH=3GH/2 だから OH:IH=(b+a):a 、(OI+IH):IH=(b+a):a 、OI:IH=b:a=AB:BC です。
( 二等辺三角形では、等辺:底辺=OI:IH です )
本問では AB:BC=OI:IH=2:1 、辺の比は 2:2:1 になって、
周囲の長さが 20 だから、3辺は 8,8,4 です。
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